December , 2025

#5 "刺繍が紡ぐもの"

Embroideried Series

ブランドのフィロソフィーを語る上で
欠かすことのできない刺繍テキスタイル。

過去から現在に至るまで、私たちは花や風景、はたまた絵画に至るまでシーズン毎に様々なインスピレーションを元に、糸と針に想いを託して制作してきました。

特に花のモチーフは最も重要なモチーフです。
メッセージを宿した花言葉やその花の生い立ちに至るまで、花が映し出す世界に魅了され、型へと昇華しています。

そんな花から咲く刺繍は、デザイナー関口の手書きのデザインによって生み出されます。

関口の記憶の鱗片にはいつも花が咲いていました。

幼少期を過ごした家の庭に咲いていた花や、大切な時間や瞬間を彩る花。
さりげない日常にも花の息吹が生活にも花を咲かせています。

そのデザインやメッセージを具現化する工程において、国内生産の技術は欠かすことができません。

MURRALの刺繍は主に北陸地方で制作されています。
北陸地方の主に石川県を中心とした地域は昔から伝統工芸が盛んな地域でした。

刺繍でいえば加賀繍(かがぬい)、輪島塗りなど職人の繊細な技術が昔から根付いています。
諸説ありますが、北陸地方で刺繍技術が発展していったのは80年代後半ごろと言われています。
当初はランジェリーなどを主としたインナー素材としての生産がメインでした。
そこから技術の進歩や他社との差別化競争の中で衣類への制作アプローチが増え発展していったそうです。

現在、北陸地方の刺繍工場は年々減少の一途をたどっており、コロナ渦以降、拍車をかけて刺繍工場の廃業が増えています。
原材料や人件費の高騰、後継者不足などネガティブな問題は年々増え環境はひどくなっています。

そして、いずれは国内での刺繍技術が再現不可な環境へと陥るのではと言われています。

この環境を打開するために私たちに何ができるのか。

国の制度の問題や様々な障壁がありますが、生産量を増やし生産地域を潤していくこと。
そして、技術の尊さや希少性を洋服に宿し、文字に綴り皆さんへと丁寧に届けることが大切だと私たちは考えます。

MURRALの刺繍において、技術の探究はもちろん、1番の特徴は針数に加えて柄の複雑さにあります。

独特な色彩の組み合わせにより生まれる柄とのコントラストとハーモニー。
その柄の全てはデザイナー関口の手書きデザインにより描かれます。

刺繍柄の作成は、様々な条件の上で成り立っています。

幅を決める柄のピッチや、原反を制作する際に柄と柄を繋ぎ合わせるリピート指示など。
本来であれば刺繍の図案師により再現される柄指示においても、デザイナー自ら知識を理解し図案として表現できることにより、複雑で自由なデザインが可能となります。

そして、私たちは技術だけでなく、シーズンに込めたメッセージや想いも刺繍へと託し綴ることができるのです。

私たちが大切に種を育て花を咲かせてきた刺繍テキスタイルが、今回オリジナルポーチとしてローンチします。

刺繍により紡がれる物語の一編が、
あなたの日常に豊かな花を咲かせてくれることを切に願っています。

MURRAL 村松祐輔