March , 2026

#8
"Denim"

Nerine embroidered denim series

" 微かな光 = GLEAM "
このテーマを26春夏コレクションのテーマに掲げた時、光と出逢った時に感じた穏やかさをどう表現しようか漠然と考えていました。

その中で辿り着いた1つの答えが「カジュアル」という言葉。
纏う側の心をそっと軽く心穏やかに、日々の営みの中で気付くとずっと側に在るようなイメージです。

カジュアルといってもその言葉の幅は広く、解釈は多岐に渡ります。
MURRALらしいカジュアルな表現・スタイルを体現できるアイテムとは何か?
そこから導かれ生まれたピースが刺繍デニムのシリーズです。

ブランド初となる刺繍デニムシリーズは、国内随一のデニム産地である児島にて製作しました。
このデニムの複雑な加工背景には職人による繊細な技術が集約されています。

デザイナー関口の手描きのデザインにより生み出された刺繍は、光によって宝石のような輝き放つダイヤモンドリリーをインスピレーションに、香川県にて加工しました。

刺繍糸はデニムの洗いの工程の際に生地と共に脱色するコア糸を採用し編み上げ、ブランドオリジナルのコード糸を作成しています。

なぜオリジナルのコード糸が必要だったのか?

刺繍糸は通常、経年劣化等を防ぐため色落ちに強い組織で撚られています。
ただそれではデニムの洗い加工を施す際、共に色落ちをせず刺繍部分だけが孤立してしまいます。
コア糸を使用することで加工工程を経て製品に仕上がった際に、デニム生地と自然に馴染むような柄が生まれるのです。
加えてスパン糸による平刺繍も織り交ぜ、繊細な柄の表現に奥行きをもたせています。

立体的な柄表現を求めて加工への追求はまだ続きます。

"美しいだけのものはつまらない"
これは私達がデザインを産む際にテーマにしているフラッグの1つです。

着続けることで経年美化となるデニムだからこその変化を与えられないか。
その答えは、クラッシュ加工を柄へと取り入れるアイデアでした。

「 刺繍加工とクラッシュ加工 」
「 対極にある2つをあえてミックスすることで新しい技術が生まれるのではないか」
そう直感で強く思ったのです。

デニムの加工におけるクラッシュ加工をあえて刺繍柄のデザインとして取り入れることで、心地の良い違和感を演出しました。
繊細な刺繍の隙間を縫うように、リューターという生地の表面を擦る機械を用いて児島の職人の手により1点1点、繊細かつ丁寧に仕上げられています。

文字通り、1つ1つのアイテムを手作業で行なっています。
それは正解のない職人の感性と技術によって表現可能なものです。

こうして完成したデニムシリーズは、まるで絵画のようなアートピースへと仕上がりました。
そんなアート作品を日常に纏う、それこそ私達のブランドコンセプトを体現するものとなりました。

”日常に少々のドラマチックを”


MURRAL
村松祐輔 関口愛弓