September , 2025
#2 "月の道"
撮影で深夜に訪れた沖ノ島公園。
そこで偶然出逢ったのは、月の道。
深夜1時ごろ月の光が波に踊る。
幻想的なその光は、揺らぎながらも真っ直ぐに月へと続く道筋を示していました。
見上げた月に手を伸ばそうとも届きそうで届かない。
歯痒さにも似た痛みのような感覚は、
私たちの繕ってきた歩みともどこか似ていて。
そんな心情に心動かされた風景を、デザイナー村松自ら撮影し、
大胆にグラフィックへと落とし込みました。
25FWの服作りのテーマである"パッチワーク"。
この技法はテキスタイルだけではなく、カッティングでもコレクションに反映されています。
プリントのテキスタイルを使い洋服を仕立てる場合に「柄どり」という工程があります。
生地を裁断する際、パーツを狙った柄に置いてマーキング(配置)していく作業です。
今回のMoon road生地の裁断では、あえて柄をパーツによってバラバラに変化させる事により、”パッチワーク”を表現しています。
結果、月の道は美しい儚さを秘めながらも力強いものへと進化していきました。
不思議なもので、私たちが強い想いでコレクションと向き合っているとデザインアイデアやヒントが向こうから現れてくれます。
偶然は必然。そんな出逢いの喜びがあるからこそ、私たちは作り続けることが出来るのかもしれません。